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ドラクエ8 短編小説集

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妹想いの兄

ねえ、ククール。今度内に遊びに来ない?
ゼシカに満面の笑みで誘われて、俺は唇が笑いの形にひきつるのを感じた。
惚れた女性の家に招待される。
普通ならば、うれしすぎる話なのだが俺の場合はちょいと事情が異なる。
兄さんも楽しみにしているって。
ゼシカが笑いながら続ける。
そう、兄。この兄が問題なのだ。
ゼシカには少し年が離れた兄がいる。
俺の所とは違って両親に兄妹区別なくかわいがられて育ったらしく、仲はとても良い。そう、よすぎるほどに。
「い、いや。お兄さんは俺のことをあまり良く思っていないみたいだし」
俺が限りなくソフトに切り出すと、ゼシカはきょとんとした顔をした。
「なんで?なんでそう思うの?」
い、いや。少なくとも気に入っている相手の前に鎧どころか兜までかぶったフル装備で現れはしないだろう。
「ああ、兄さんはちょうど魔物退治に行こうと思っていたんじゃないの?」
いや、魔物退治に行こうとしていたとしても、フル装備のままお茶を飲むことはしないだろう。
しかも、ゼシカと俺がよいお付き合いをさせてもらっていると言った瞬間に激しく震えだして、カップを叩き割ったんだ。
「兄さんもちょっとびっくりしたんでしょう。ほら、私男の人とお付き合いするってタイプじゃないし」
いや、びっくりしただけなら3回もカップを叩き割ることはしない。
俺が何度説明しても、ゼシカはでも、とか兄さんに限ってと言って自分の兄の言動を頑として認めようとしない。
結局俺は押し切られる形で、ゼシカの家に再度訪問することになった。
                             
                                      ※

やあ、よく来てくれたねえ。ククール君。いつもゼシカをありがとう。
ゼシカの兄、サーベルトは今回も満面の笑みで迎えてくれた。
ただし、その目は糸のように細まっており表情をまったくうかがうことはできない。
ゼシカとの仲はどうだい?
尋ねながら、彼の唇が半月の形につりあがっていく。
こわい、俺はこんな怖い笑みを見たのは初めてだ。
「あ、ああ。相変わらず仲良くしていますよ」
それはよかった。
サーベルトは張りついたような笑みのまま、持っていたものをフルスイングした。
重い風圧と共に、信じられないものが俺の顔面すれすれをかすめて行く。
「ちょ、お兄さん何をやってるんですか?」
「なに、体を鍛えているだけだよ。それよりククール君」
釘をびっしりとうちうつけたバッドを地面に突き刺して、サーベルトは問いかけてくる。
「は、はい」
「僕はいつ君のお兄さんになったのかな?」
「しゅ、しゅみましぇん」
やっぱりこの兄貴怖すぎる。マルチェロとは別の意味で怖すぎる。
早く何とかしないと。
俺は適当な理由を探してサーベルトの側を離れようとした。と、
「ククール君、庭のバラがきれいなんだけれど見に行かないか?」
再び釘バッドを片手にサーベルトが提案する。
いや、だからなんで釘バッドをもってバラを見に行くんですかあんたは。
と俺が言えるはずもなく、大人しくサーベルトの後をついていく。
確かに庭のバラは綺麗だった。
「いやあ、きれいですねえ」
「そうだね、でも最近花びらの色が薄くなったんだ。やっぱり有機肥料が不足しているんだねえ」
「は、はあ」
「ククール君。こんな異国の昔話をしっているかな?美しい花の下には死体が埋まっていると」
……だから、釘バッドを振り回しながら言わんでください。俺はまだ肥料になりたくなり。
そろそろと後じさった俺の背中が硬いものに当たる。
ハッとして振り返れば、庭の大木だった。
ああ、びっくりしたと思った瞬間。頭の上に軽い物が落ちてきた。
何だろうと手に取れば、麦わらでできた稚拙な人形で、なぜか中央に俺の名前が書かれていた。
「ああ、ごめんね落ちてきてしまった」
さっとサーベルトが俺の手から人形を取り上げる。
「もっとしっかり五寸釘で打ち付けておくから安心してね」
……思いっきり呪いの人形ですやん……
背中を伝い落ちる汗が冷たい。
「おにおにおにおに、サーベルトさん、お、おれはこれでゼシカと」
「おや、今晩は泊まっていくんだろう?うれしいな。男同士ゆっくりはなせるね」
糸のように細い目の笑顔がぐっと俺に近づいてくる
俺は明日、この館を生きて出られるのだろうか……。
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Date:2016/11/27
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