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ドラクエ8 短編小説集

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お姫様と従者

主姫にククゼシが絡むお話です。昔はこんな甘酸っぱいものを書いていたという遠い記憶





ククールの形良い唇が、古の言語で精霊の加護を求める言葉を紡ぎだす。
淡い緑色の光がまだ血が流れ続けている腕を包む。
赤いバンダナを巻いた青年は苦痛をこらえる為かきゅっと唇をかみ締めた。。
光は徐々に小さくなる、と、それと同時に
血は止まり、大きくえぐれたような傷口がゆっくりとふさがっていく。
光が完全に消えたときには、猫が引っかいたような傷が残っただけだった。
「かなりざっくりいっていたから、とりあえず傷を治しておいた」
額にうっすらと汗を浮かべ、肩で息をしながらククールが言った。
「ありがとう」
青年が申し訳なさそうに礼を述べた。他人の傷を癒す魔法は、火や氷を
生み出す魔法よりはるかに体力を消耗する。
「いいって、化膿でもしたら厄介だからな。でもどうしたんだ、
あんな怪物の爪にひっかけられるなんて、お前らしくもない」
「うん・・・油断していたみたいだ」
とうつむいた青年に、ククールは眉をひそめた。
おかしい。
今日通ってきた道は、山の中とはいえ整備された公道であり
したがって出くわした怪物の数は少なく、しかも軽く蹴散らせるはずの
雑魚ばかりだった。しかも、青年の武器は槍。弓やブーメランほどではないが
剣の倍は間合いを取って戦える獲物だ。
それなのに、青年は利き腕に軽いとはいえない怪我を負った。
「熱でもあるのか」
額に当てようとした手は、すんでのところでかわされてしまった。
「違うよ。本当に油断していたんだ」
と、言いつつもその目はあさっての方向を向いている
ますますおかしい。
ククールが再び口を開きかけたとき、
「大丈夫かの」
と緑色の怪物、もといトロデ王がちょこちょことやってきた
「はい、陛下後心配をおかけして申し訳ありません」
丁寧に腰を落として目線を合わせて青年は返答する
「そうか、ならよかった。ではミーティアに水をあげておくれ
一日山道を歩き続けたからの」
「はい、陛下」
そそくさ、という形容詞の見本のように立ち去る青年。
残されたククールはため息をついて、自分の髪をぐしゃぐしゃと
かきまわした。

夜半。
結局青年の怪我がもとで次の町までたどり着くことが出来ず
一行は山の中の小さな泉のほとりで野営となった
青年は大丈夫だと言い張ったのだが、ククールがストップをかけたのだ
「魔法は万能じゃない。明日ベッドの上でのた打ち回りたくなかったら
無理をするな」と
馬車に積んであった食料で簡単な食事を済ますと
一同はさっさと横になった。睡眠に勝る体力回復はない。
「ほら、飲め」
ぶっきらぼうな物言いとともに差し出されたカップを
青年は驚いたように見つめ、手に取った 
「焚き火の番くらいはできるから。
ククールだって疲れているんだろう」
「休みたいのは山々なんだけどよ」
みずからもカップを手に、ククールは青年の対面に腰を下ろした。
「気になることがあると眠れないたちなんだ。俺は」
「気になること?」
「とぼけるな」
青い瞳が氷の鋭さで茶色の瞳を見つめる
「心ここにあらずで、あんな怪物ごときに重傷を負うやつに
明日背中を預けられるか」
「・・・・・・ごめん、本当にたいしたことじゃないんだ」
うつむく青年に、ククール肩をすくめた
「やれやれ、俺は結構長い間お前と旅をしてきて
それなりの信頼関係を築いていると思っていたんだけどな」
「・・・・・・・」
「戦闘中背中は預けられても、たいしたことない悩み一つ
打ち明けちゃくれないんだ。悲しいな。俺」
大げさにため息をつき、なおかつ袖口で目の辺りをこする。
青年はそれを気まずげに見つめ、カップの中身を一口すすると
「夢を見たんだ」
と言った。
「夢?」
「ミーティア姫様が夢の中で、僕に自由になっていいといってくださったんだ。」
「・・・・・夢ねえ」
ククールは人差し指でぽりぽりと頬をかいた。
「そりゃあお前の願望かな?」
「ちがう、違うんだよ」
青年はブンブンと首を振った。
のろいをかけられて以来、ミーティアは人の夢の中を訪れることができるようになったという。
「実は、僕は姫様が馬の姿になってよかった、って心の奥底で思っていたんだ」
「・・・・それはまたどうして」
「お城にいた頃、姫様は遠すぎて姿を見るだけで精一杯だったんだ。
それでも僕は満足だった。でも旅にでてからは姫様の食事の世話をしたり
体をブラッシングするようになって、姫様が本当に身近になったようで僕はうれしくなってきてしまった」
「でも、所詮それは馬の世話をするのと一緒だぜ、女って言うのは、もっとこう」
「僕には同じことだよ」
青年は苦く笑った。
「人間に戻れば僕はまた姫様を見上げるだけになってしまう。
僕はそれが怖かった。姫様はきっとそんな僕の気持ちを見抜いたんだ。」
「ちょっと、それは考えすぎじゃないか」
確かに、自由にするという言い方は微妙だ。使用人を首にするときの
婉曲な言い回し、ともとれる。
「で、お前は承諾したのか。その、自由になることについては」
青年はもう一度激しく首を振った。
「僕はトロデーン城以外の世界を知らないし、そこ以外の生活なんて
考えてもこなかった」
「・・・・お前、本当に忠臣の見本みたいなやつだなあ。
なら悩むことなんかないだろう。次に夢の中で姫様にあったらそういえばいい」
「・・・・・・うん」
と青年は力なくうなずいた。が、納得をしていないのはその表情を見れば明らかだ。
・ ・・・・まいったね、こりゃ・・・・・
とククールは胸中でつぶやく
多分姫様はこの青年を疎ましく思っているのではないはずだ。
それは普段姫様が安心して青年に手綱を取られている様子で理解できる
馬にされたとはいえ、彼女は心まで動物になっているわけではない。
恐らく、ちょっとした感情の行き違いだ。
だが、今それを自分が万の言語を費やして青年に説明した所で
納得はするまい。
「お前は考えすぎなんだよ」
というのが精一杯で、そして無論青年はうなずきはしたものの
到底納得はしていない様子だった。



「姫様、どうしたのですか?私にお話なんて」
時は翌日。秘密の泉のほとりにゼシカは人間に戻ったミーティア姫と並んで
腰を下ろしていた。
「ごめんなさいね、ゼシカさん」
ミーティアは本当にすまなそうに頭を下げた。
・ ・・・・本当にお姫様らしくない人よねえ・・・・・
そこが好感持てるのだけど。と胸中でゼシカは呟く。
今朝、浅い眠りから目覚め、だるさの残った体でお茶をわかしていると
何か暖かいものが肩に触れた。振り返るとミーティア姫が鼻先でしきりと
ゼシカをつついている。飼い葉か水の催促かと思ったがどうも違うようだ
「なんか話したいことがあるんじゃないか、ゼシカと」
と、言ったのはククールで、同時に姫は甲高く鳴いた。まるでそうだ、といわんばかりに
とまどうゼシカに、ククールはいってこいよとキメラの翼を放り投げた。
僕も一緒に、といいかける青年を押しとどめ、早く行け、と身振りで示す。
分けも解らぬままとりあえずやってきたが、人間に戻った姫は
水面をじっと見つめたままだ。
「姫、あまりお時間がないのでしょう」
女神の加護をうけ、ありとあらゆるのろいを打ち消す泉も
姫にはほんのわずかな時間しか聞かない。
彼女にかけられた呪いはそれほど強い。
「ゼシカさん、私は罪深い女なんです」
ゼシカの遠慮がちな催促に、姫は呟くように行った。
「・・・・・は?姫様が、ですか」
コクリとうなずく姫に、ゼシカは言葉につまった。
肯定などできようはずがない、かと言って頭ごなしに否定して
よいものか。
「私には生まれたときから婚約者がいました」
迷っている間に姫は語りだした。
「それに疑問はまったくありませんでした。王家に生まれたものの
義務だと教えられましたし、お父様もお母様もそうだったのですから。」
ゼシカは相槌を打った、とりあえず姫様の話をすべてきいてみよう。
「ですが、私はチャゴス王子をどうしても好きになれません。」
そりゃそうよねえ、とゼシカは胸中でつぶやいた。
失敗はすべて人のせい、他人の手柄は自分の手柄、すべての人間は
自分に奉仕をして当然。口には出さなくても全身でそう主張しているような
王子様なのだ。あれを愛せというのは、かなり、かなり酷な話だ。
「いっそのこと、このまま馬のままでいたい・・・・」
そう言って姫は膝をぎゅっと抱えた。
・ ・・・お姫様も大変よねえ。
衣食住に困るということはないが、人として大切なものを切り捨てなければならない世界
御伽噺とはだいぶ違うのだ。お姫様というものは。
しかし、あんな奴を愛せないくらいで罪深いとは姫様もちょっと大げさだ、
とここまで考えて、ゼシカははた。と思いたった。
「ひょっとして、姫様は他に好きな人がいらっしゃるのですか」
ミーティア姫はとたんに耳まで真っ赤になる。
わかりやすすぎて、いっそ愛らしい。
誰が、とは聞くだけ野暮というものだろう。
「彼はとても優しい人です」
苦しげなため息とともに言葉は紡ぎだされる。
「私はそれをいいことに彼に甘えきっていました。彼には彼の人生があるのに。
すでに定められた相手があるのに、心を移す私は、罪深い女なのです」
ゼシカは盛大なため息をついた。
これで罪深いというのなら世の中の女性の半数以上は地獄いきだ。
「でも、姫様は彼に想いを伝えてはいないのでしょう?」
「・・・・・伝えました」
・ ・・・・なんですって・・・・・
そうなると話は違ってくる。
「私は馬の姿になったことと引き換えに、他の人の夢の中に入ることができる力を手に入れました
夢の中で。私は彼に伝えたのです」
「な、なんていったんですか」
・ ・・・まさか、手に手をとって逃げようなんていってないでしょうね・・・・・
ゼシカの喉がゴクリと鳴った。
「・・・・貴方には貴方の人生があるのだから、自由になってよい、と」
「・・・・・・・・」
それは、思いを伝えるとは言わない。婉曲なクビの言い渡しだ。
姫様の思い人は、関係上は姫の忠実な臣下なのだから。
「彼はそれからずっと塞ぎこんでいるのです」
・ ・・・・あたりまえだ・・・・・
「私は、どうしたらいいのでしょう」
悲しげに首を振るミーティア姫に、ゼシカはかける言葉が見つからなかった。
姫は彼のことを真剣に考え、そして口にした言葉だったのだろうが
彼にとっては解雇通告、に捕らえてしまったに違いない。
憶測だが、ここ2,3日の彼のふさぎこんだ姿を見ていれば
間違いはない。
「とりあえず、彼の返答を待ってみたらいかがですか」
その言葉に、ミーティア姫はうなずいたもののやっぱりその表情は
くらく悲しげで、ゼシカは自分まで鉛を飲み込んだような気分になった。

その夜のこと
たどりついた小さな町の宿屋兼酒場で、ククールが一人グラスを傾けていると
2階からゼシカが降りてきた。
「めずらしい、眠れないのか?」
こっくりと頷いたゼシカは、そのままククールの隣に腰を下ろす。
「えっと・・・・」
「マスター、こちらのレディにブランデーエッグノッグ。タマゴは黄身だけ。ミルクを少し熱くして」
「・・・・・何勝手に注文してるのよ」
「お子様は年長者の言うことを素直に聞くものですよ」
しれっとした物言いに、キッとククールを睨みつけたゼシカだったが
目の前に出されたカップの中身を一口飲んで、あら。と呟く。
ベースになっている酒は強そうだったがミルクの甘みとタマゴのまろやかさ助けとなって
とても飲みやすい。
「眠れぬ夜にはぴったりと思いますが、お嬢様」
そう言ってにやりと笑うククールに、しゃくだと思いつつもゼシカは頷いた。
「・・・・・で、どうだったんだ?姫様の話は」
「どうって・・・・」
「楽しい話じゃなかったんだろう?」
「どうしてわかるのよ」
「ゼシカがここにいるからさ」
と、肩をすくめて苦笑するククールに、ゼシカもつられて笑い、そして長い長い
ため息のあと、ぽつぽつと昼間のことを語った。
「あの二人のことじゃなかったら、これほど面白い話はないんだけどなあ」
琥珀色の液体をくるくるとグラスの中で回しながら、ククールは呟く。
「貴方って本当に性格悪いわね。」
「外見がよすぎるからな」
「・・・・・馬鹿じゃないの・・・・でも、物語みたいな話よね」
「そうだな」
魔法にかかった姫とそれを救おうとする勇敢な騎士。
お互い惹かれあっているものの、それを口に出すことはない。
「吟遊詩人の唄だったら、この後騎士が姫に愛を打ち明けるのよね」
「まあ、無理な話だね。あいつはそれほど周りが見えない馬鹿じゃない」
打ち明けた所で、今のままでは恋愛どころではなく、
呪いが解けても、姫とチャゴス王子の婚約は白紙にはならない。
「王様だって、あのバカ王子の人となりはわかったはずなのに」
「王族の結婚というやつに人格は必要ない。必要なのは子孫が出来る
健康な肉体だけと、それによって結ばれる血の絆だけさ」
「・・・・あんたってどうしてそう夢も希望もないようなことをいうわけ?」
「宝石箱に石ころを入れたところでダイヤになるか?」
沈黙が落ちた。
芝居や歌では飽きるほど語られた筋でも、現実に起こることはまずない。
ゆえに人々は物語の前にこの一文字をつけるのだ「夢」と。
「・・・・・悪かった」
ぽつり、とククールが言った。
「遅いわよ。あんたは女たらしの上に冷血漢だったってよくわかったわ」
すかさずゼシカがかえす。
ククールは苦笑を深くし、グラスの残りを干した
ひとつ咳払いして、
「お嬢様、一つ名誉挽回の機会をわたくしめに与えていただけませんでしょうか」
と芝居がかった口調で話しかける。
「・・・・・なによ」
いぶかしげな顔のゼシカにこしょこしょと耳打ちをするククール
「・・・・・あんたって悪知恵だけは回るわねえ」
「悪は余計だ。協力するか。しないのか?」
「するわよ、このままじゃ二人ともかわいそうすぎるわ」
そういったゼシカに、ククールは微笑んだ。
ゼシカは認めたくないが、それはたいそう魅力的なものだった

「ククール、どこまで行くの?」
さらに翌日、ククールは赤いバンダナを巻いた青年を誘い出し
町から少し離れた小道を歩いていた。
「もうすぐだよ。ほらここさ」
と、二人が到着したのは小さな泉
冷たく清潔そうな清水が懇々と湧き出しているものの、
これと言って特徴はなさそうだ。
「この泉がどうかしたの?」
案の定首をかしげる青年に、ククールはちょっと笑って
「昨日酒場のバニーちゃんに聞いたんだ。
この泉には不思議な力があって、こうやって」
と小石を拾うと泉に投げ込んだ
「泉に小石を投げ込んで願い事を口に出して唱えると
かなうんだ。ゼシカとキスが出来ますように」
「・・・・・ククール」
「ほら、次はお前だ」
「へ、僕?」
戸惑う青年の肩をククールはぐっととらえる
「なんだよ。俺のひめたる願いを聞いておいて、それはないだろう」
「・・・・・ククールが勝手に言ったんじゃないか」
「あーん、聞えないなあ。ほら、小石」
無理やり手渡された小石を、青年はしばらく見つめていたが
やがて意を決したように
「姫様のそばにいつまでもおつかえ出来ますように」
と、いいながら、泉に向かってそれを投げた。

「姫様、もう少しですよ。ここの泉の水はそれはそれは美味しいのです」
時間は少し前にさかのぼる。ゼシカは白い馬の手綱を引いて
ククールたちが向かった泉をめざしていた
「さあ、つきましたわ。あら、誰か来たようですわ」
耳を澄ませばククールと青年の声が聞える
「姫様、ちょっと隠れておどろかしてみましょう」
そう耳打ちして、泉の周りの潅木の茂みに一緒に身を潜める。
しばらく息を殺していると、
「姫様のそばにいつまでもおつかえ出来ますように」
という青年の声が聞えた。
「まあ、姫様。お聞きになりまして」
少々わざとらしく言うゼシカに、純白の馬は目を伏せ、長い首をゆっくりとふる。
それはまるで少女が恥らうようであった。

「まあ、とりあえずうまくいったみたいでよかったな」
「今回は貴方の悪知恵に感謝するわ」
夕刻、次にたどり着いた町の宿屋の2階、ゼシカとククールは中庭を見下ろしていた
そこには井戸の傍らで丁寧に馬にブラシを書ける青年と、安心しきったように
身を任せる純白の馬の姿があった。
「二人とも元気になったみたいで」
「・・・・・ともにいるだけで満足か。うらやましいぜ」
「なんか言った?」
「いや、ところで感謝しているなら、その印がほしいなあ」
言うが早いか、ゼシカの唇にククールは小鳥がついばむようなキスをした
・ ・・・・次の瞬間、宿屋の一角から火の手が上がったことは 言うまでもない
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Date:2016/06/19
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Comment

*

初めまして。
ツイッターをやっていないのでこちらで失礼します。
領主ククールのお話が大好きだった者です。
ツイッターはやっていないのですが、ヤフーのリアルタイムで「ククゼシ」と検索したら、復活なさっているのに気付いて嬉しくてコメントしてしまいました。
また読ませて頂ければ嬉しいです。応援しています。
2016/06/19 【みおん】 URL #XVgCdbeE [編集] 

*

みおん様
御拝読ありがとうございます。
10年ぶりに復活いたしました。
今回はTwitterを中心に作品を発表していくつもりです。
またこちらにも短編などを増やしたいと思いますので
また遊びに来てください。
2016/07/23 【管理人】 URL #- 

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